ビットコインやイーサリアムのような価格が大きく動く仮想通貨が注目を集める一方で、USDC（USDコイン）のような「ステーブルコイン」にも、安定した役割があります。
USDCは、米ドルと1:1で連動するよう設計されたデジタル通貨です。
ブロックチェーンの速さや24時間取引の便利さを生かしながら、「1USDC≒1ドル」の安定した価値を保ちやすいことが特徴です。
ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨の価格の変動性で注目を集める中、USDC（USDコイン）のようなステーブルコインは、ブロックチェーン技術を従来の通貨の安定性と組み合わせることによって、異なるアプローチを提供します。
本記事では、USDCの基礎から実践的な使い方、リスクや将来性までを整理して解説します。
市場の変動から資産を守りたい方、海外送金コストを下げたい方、DeFi（分散型金融）で利回りを得たい方に向けて、必要なポイントを一通り押さえられる内容です。
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目次
USDC（USDコイン）とは
USDC（USDコイン）は、米ドルに1:1でペッグされたステーブルコインです。一般的な暗号通貨やアルトコインのような激しい価格変動とは異なり、常に1米ドル＝1USDCの安定したレートを保持しています。
この安定性の理由は、流通するUSDCトークンが、現金や短期の米国財務省証券などのドル建て資産で完全に裏付けされている点にあります。
つまり、ブロックチェーン上で動くデジタル通貨でありながら、従来の法定通貨と近い感覚で扱えるように設計された金融商品と言えます。
USDCはCircleが発行する「規制準拠型」のステーブルコインであり、価格変動の心配を抑えながら、暗号通貨エコシステムの中で価値の保存・送金・受け取りができるようになっています。
USDCの開発背景と歴史
USDCの歴史は2018年5月の発表から始まり、同年9月に正式ローンチを迎えました。開発主体はCentre Consortiumという共同事業体で、P2P決済サービスのCircleと世界最大級の暗号通貨取引所Coinbaseが設立しました。
創設者たちは、Circleの共同創業者ジェレミー・アレールとショーン・ネビルを中心に、「インターネットが情報を自由にしたように、価値のやり取りも同じように自由で安全にしたい」という考えのもとUSDCが作られました。
その後、USDCは複数のブロックチェーンに広がり、2025年時点では、ステーブルコイン市場でTether（USDT）に次ぐ規模を持つ通貨として定着しています。
USDCの仕組み
発行・償還プロセスの透明性
ビットコインなどが「マイニング」によって新規発行されるのに対し、USDCは「発行・償還（ミント・バーン）」の仕組みで管理されています。
発行プロセス：
- ユーザーまたは企業が、Circleアカウントに米ドルを預ける
- Circleが同額のUSDCトークンを発行
- 発行されたUSDCがユーザーのウォレットに送られる
償還プロセス：
- ユーザーがUSDCを米ドルに戻したいとき、USDCをCircleに返送
- Circleが受け取ったUSDCをバーン（焼却）
- 同額の米ドルがユーザーに返金される
この仕組みにより、流通するUSDCトークン数と準備金として保有される米ドル額が常に一致することが保証されています。
資産担保システムの詳細
USDCの信頼性を支える最重要要素が、透明な準備金システムです。各USDCトークンは流動性の高い現金および現金同等資産によって完全に担保されています。
Circleの公式発表によると、USDC準備金の大部分はCircle Reserve Fundに投資されています。このファンドはSEC（米国証券取引委員会）登録の政府系マネーマーケットファンドで、世界最大の資産運用会社BlackRockが管理を担当しています。
準備金の構成要素：
- 米国規制金融機関の分別管理口座に保管された現金
- 短期米国財務省債券
- その他の高流動性資産
このアプローチにより、USDCは米ドルとの1:1ペッグを維持し、いつでも確実な償還を可能にしています。
監査体制と透明性の確保
信頼性維持のため、Circleは独立会計事務所による月次証明レポートを定期公開しています。これらのレポートは、準備金として保有する米ドル額が流通USDCトークン数と正確に一致していることを第三者機関が検証したものです。
- 2015年〜2022年: Grant Thornton LLPが独立監査人を担当
- 2022年以降: Deloitte & Touche LLPが監査業務を継承
さらに、USDCを支える資産ポートフォリオに関する日次独立第三者レポートがBlackRockを通じて公開されており、多くの金融商品と比較して前例のない透明性を実現しています。
USDCと他のステーブルコインとの比較
ステーブルコイン市場で、USDCとUSDT（テザー）は2つの主要なステーブルコインです。両方とも米ドルに1:1のペッグを維持することを目指していますが、重視しているポイントが少し違います。
- 透明性: USDCは準備金の月次認証レポートとリアルタイム報告を提供していますが、USDTは透明性の欠如で批判されています。
- 規制遵守: USDCの準備金は規制された金融機関で保持され、厳しい規制基準に従っています。USDTは、その準備金に関するユーザーを誤解させたとして2021年に4100万ドルの罰金を受けるなど、規制の厳しい精査に直面しています。
- 市場資本化: USDTはより大きな市場資本化を持っていますが、USDCは着実に成長し、かなりの市場シェアを獲得しています。
- 取引量: 市場規模が小さいにもかかわらず、USDCは特にアメリカや機関投資家の間で取引量が高いです。
USDCの利点
USDCには、その人気が高まる要因となったいくつかの利点があります。
- 規制コンプライアンス: サークルは、FinCENに登録されたマネーサービスビジネスであり、世界の複数の法域でライセンスを保有しています。
- 透明性: 定期的な証明と日次報告は、ユーザーにUSDCの裏付けに対する信頼を提供します。
- マルチチェーンサポート: USDCは複数のブロックチェーンネットワークで利用可能であり、高いアクセスビリティを持っています。
- DeFiとの統合: 分散型金融アプリケーションの基盤として幅広く採用されています。
- スピードとコスト: USDCの取引は、従来の金融システムに比べて迅速かつ低コストで決済されます。
USDCに対応しているブロックチェーンネットワーク
USDCは様々なブロックチェーンネットワークでサポートされています。
主要対応チェーン：
- Ethereum: ERC-20トークンとしてのオリジナル展開先
- Solana: 高速・低コスト取引で人気
- Polygon: Ethereumのレイヤー2スケーリングソリューション
- Avalanche: 分散アプリケーション開発プラットフォーム
- Algorand: セキュリティ・スケーラビリティ重視のブロックチェーン
- Base: 新世代Ethereumレイヤー2ソリューション
- Arbitrum: オプティミスティックロールアップ採用のスケーリングソリューション
- Stellar: 金融包摂を目的とした設計
- NEAR: シャーディング技術搭載ブロックチェーン
- Noble: Cosmosエコシステム接続チェーン
このマルチチェーン戦略により、ユーザーは速度・コスト・機能面で最適なネットワークを自由に選択できます。
ネイティブUSDCとブリッジUSDC
ブロックチェーンネットワーク上には2種類のUSDCが存在します。
- ネイティブUSDC: 特定のブロックチェーンでサークルによって直接発行されます。ネイティブUSDCはサークルの準備金によって完全に裏付けられ、1:1で米ドルに引き換えることができます。
- ブリッジUSDC: USDCが1つのブロックチェーンでロックされ、別のブロックチェーンで合成バージョンがミントされるときに作成されます。ブリッジUSDC（時々USDC.eと呼ばれる）はサークルによって発行されず、追加のリスクを伴います。
利用するときは、「これはネイティブUSDCなのか、ブリッジなのか」を取引所やプロジェクトの表示で確認しておくと安全です。
USDCの実用的な用途
マーケットの変動時の価値保存
価格が大きく上下するビットコインやアルトコインを一度USDCに変えることで、
値動きを抑えつつ、次のチャンスを待つことができます。
- 相場が荒れているときに、一旦USDCに退避
- 相場が落ち着いたら、再びビットコインなどに戻す
このような使い方から、USDCは「デジタル版の待機資金」として利用されています。
低コストのグローバル取引
USDCは、従来の銀行システムに関連する遅延や高額な手数料なしで、国境を越えた迅速で低コストの送金を可能にします。従来の国際送金は数日かかり、特に小額の場合は大きな手数料が発生します。USDCを使用すると、ユーザーは金額に関わらず数分で世界中にお金を送ることができるため、送金や国際ビジネスの支払いに最適です。
DeFi（分散型金融）での収益機会
USDCはDeFi（Decentralized Finance）アプリケーションの中核として重要な役割を担っています。ユーザーは様々な方法でUSDCを活用し、収益を得ることが可能です。
- 利息獲得: USDCを貸付プロトコルに預けて、従来の貯蓄口座よりも高い金利を得ることができます
- 流動性提供: USDCを分散型取引所に供給し、取引手数料の一部を獲得します
- 担保に対して借入: USDCを担保として使用して、他の暗号通貨を借りることができます
- 取引: 他の暗号通貨との取引ペアとしてUSDCを使用することができます
これらのDeFi活用により、ユーザーはドルペッグ資産の安定性を維持しながら、USDCから継続的な収益を生み出すことができます。
USDCの購入と保管方法
MEXCは、USDCを入手するための多様で便利な購入オプションを提供しています。
- スポット取引: アカウントを作成し、KYC認証を完了した後、USDT、USDC、またはUSDEを最初にウォレットに追加し、その後スポット取引ページに移動することで、スポット取引を通じてUSDCを購入できます。
- デビットカードまたはクレジットカード: MEXCでは、デビットカードまたはクレジットカードを使用して直接USDCを購入することができ、リアルタイムの為替レートと即時購入を提供しています。
- 銀行口座: MEXCにあなたの銀行口座をリンクすることで、地元および国際の銀行から直接USDCを購入するためのシンプルで安全な方法を提供します。
- P2P取引: MEXCのピアツーピアプラットフォームを使用すると、他のユーザーから直接USDCを購入でき、柔軟な支払いオプションやセキュリティのためのエスクローサービスを提供します。
- 第三者支払い: MEXCは、Banxa、MoonPay、Mercuryoなどの第三者支払いプロバイダーと統合し、各自が好む支払いゲートウェイを通じてUSDCの購入を簡単にします。
保管に最適なUSDCウォレット
USDCを購入した後、主に2つの保管オプションがあります。
- 取引所ウォレット: 取引所での取引が頻繁な場合は、特に便利なため、USDCをMEXCや他の取引所ウォレットに直接保管できます。この方法は便利ですが、資産の保管を取引所に信頼することを意味します。
- セルフカストディウォレット: より高いセキュリティとコントロールのために、USDCをセルフカストディウォレットに移すことができます：
- ソフトウェアウォレット: MetaMaskやPhantomのようなアプリまたはブラウザ拡張として存在するデジタルウォレット
- ハードウェアウォレット: LedgerやTrezorのような物理デバイスで、プライベートキーをオフラインで保存し、最大のセキュリティを提供します
ウォレットを選ぶ際は、セキュリティのニーズ、USDCへのアクセス頻度、USDCが存在するブロックチェーンネットワークを考慮してください。異なるウォレットは異なるネットワークをサポートしています。
USDCの将来性
成長と普及の動向
USDCは2018年のローンチ以来、顕著な成長軌道を描いています。シリコンバレー銀行破綻時の一時的なペッグ解除などの課題を経験したものの、最近のトレンドは時価総額回復と普及拡大を示しています。
調査によると、USDCの採用は特に米国市場と機関投資家の間でUSDTを上回る速度で拡大しています。デジタル決済の進化が続く中、USDCは従来金融とブロックチェーン技術を橋渡しする重要な役割を担うことが期待されています。
従来の金融との統合
USDCは従来の金融システムとの統合を着実に進めています。
- 決済ネットワーク: Visaのような主要な決済ネットワークは、USDCの決済をサポートすることを発表。
- 銀行提携: アメリカ最古の銀行BNY Mellonは、USDCを支える資産の主要な保管者として機能
- 機関投資家の採用: BlackRockを含む主要な金融機関がUSDCに関心を示し、BlackRockはUSDCの現金準備の主要な資産運用者として機能
USDCは、単に「仮想通貨の中の1銘柄」というより、「ドルをブロックチェーン上で使えるようにするインフラ」に近い位置づけになりつつあります。
USDCでよくある質問（FAQ）
Circleによって初めてUSDCのステーブルコインはいつ発行されましたか？
USDCは2018年5月に初めて発表され、CircleとCoinbaseの共同事業を通じて形成されたCentre Consortiumによって2018年9月に正式に立ち上げられました。
USDCは何の略ですか？
USDCは「USDコイン」を略しており、米ドルの価値にペッグされた暗号通貨コインであることを示しています。
USDCとUSDTの違いは何ですか？
USDCとUSDT（テザー）の主な違いは透明性と規制遵守にあります。USDCはその準備金の月次確認報告を提供し、厳格な規制基準に従っています。一方、USDTは透明性の欠如や規制問題について批判にさらされています。USDCの準備金は主に現金と短期の米国債で保持されており、USDTの裏付けは疑問視されています。市場規模は小さいながらも、USDCは特にアメリカにおいて取引量が高くなることがよくあります。
USDCで何ができますか？
USDCには複数のユースケースがあります：暗号市場のボラティリティ期間中の価値の保管; 迅速かつ低コストでのグローバルな取引; 国境を越えた送金; 利回りを得るために分散型ファイナンス（DeFi）アプリケーションに参加; 他の暗号通貨との取引; ドル建てのデジタル決済手段としての利用。
USDCの送金にはどれくらいの時間がかかりますか？
USDCの送金時間は、使用されるブロックチェーンネットワークに依存します。Ethereumでは、送金は通常1-5分かかりますが、SolanaやAvalancheのようなネットワークでは数秒で取引が処理されることがあります。ネットワークの混雑が激しい時期には、特にEthereumネットワークでは送金に時間がかかることがあります。
結論
USDC（USDコイン）は、米ドルの安定性とブロックチェーンの利便性を組み合わせたデジタル通貨です。価格変動リスクを排除しながら、従来の金融システムでは実現困難だった迅速性・低コスト性・アクセシビリティを同時に提供しています。
USDCの特徴
- 暗号資産市場の激しい値動きから資産を守る「避難先」
- 国際送金やオンライン決済を、より速く・安く行うための手段
- DeFiを通じて安定資産ベースで利回りを狙うための土台
一方で、銀行リスクや規制変更リスク、スマートコントラクトやブリッジのリスクもあるため、「仕組みを理解して使うこと」が大切です。
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