暗号資産の相場動向は、金融市場の法則に忠実に従います。どちらも市場の需給関係やマクロ、ミクロの環境影響に従って反応し、個々の暗号資産銘柄は従来の金融市場における株式市場と似ています。暗号資産の動きにはそれぞれ特徴があり、独自の市場特性とバリュープロポジション(価値提案)の裏付けとなっています。そのため、投資家は相場動向に基づき市場経験、ニュースの要約と実際運用を通じて、ファンダメンタルズ分析、ニュース分析、テクニカル分析を評価することで、より正確な市況予測を形成・考察することができます。
本稿では、テクニカル指標の一種である「 移動平均収束拡散法(MACD指標)」分析について簡単に説明します。
移動平均収束拡散法(MACD指標)とは
移動平均収束拡散法(以下MACD指標という)とは、短期指数平滑移動平均線と長期指数平滑移動平均線の2つの線から構成される指標です。この2つの移動平均線の差を計算することで、投資家が相場トレンドの方向性を認識するのに有効とされています。MACDは、短期的な相場の小さな変動に左右されないため、短期的な相場情報を排除し、長期的な投資において相場の動向を正確に予測することができると言われています。
MACDライン=短期指数平滑移動平均線 - 長期指数平滑移動平均線
シグナルライン=任意の期間におけるMACDラインの移動平均線
MEXCでは、チャート画面の右上にある「fx」ー「MACD」をクリックすると、ローソク足チャートの下に MACD 指標を確認することができます。MACD指標は、MACDライン(黄色DIFF)とシグナルライン(紫色DEA)の2本の細い線で表示されており、両者の差であるMACD数値は緑色または赤色の棒グラフで表示されています。
また、下図のように、チャートとMACD指標の間にある「イラスト」を動かすことで、MACD画面のサイズを調整することができます。
MACD指標のメリットとデメリット
メリット:現在の市場トレンドを定義することができ、市場に逆行する取引に伴うリスクを回避することができます。中長期的な上昇トレンドと下落トレンドの開始と終了をより正確的に予測することができ、投資家にとって市場のノイズを軽減することができると言われています。
デメリット:MACDは中長期的で堅牢なテクニカル指標です。したがって、市場の急激な変動や市場シグナルの頻発にはあまり敏感ではないため、高頻度取引にはあまり向いていません。
MACD指標の運用例
ローソク足のパターンと組み合わせて相場を分析する移動平均線(MA)と異なり、MACD指標は頻繁に起こる相場変動のノイズを排除して形成されているため、より独自のパターンの分析と予測に重点を置いています。
1. MACD指標の「 ゴールデンクロス 」と「 デッドクロス 」
一般的に、MACD指標の堅牢で鈍感な特性により、MACDラインとシグナルライン2 本の線が頻繁に交差することはありません。2本の線が交差する(クロス)ときはいつも、激しい相場変動の到来を意味します。したがって、他の指標と組み合わせたクロス分析は、投資行動のための参考情報を形成することができます。
ゴールデンクロス
MACDライン(黄色DIFF)がシグナルライン(紫色DEA)を下から上に抜く場合、2本の線が形成するクロスはゴールデンクロスと呼ばれ、一般的に相場の上昇トレンドを示しています。
デッドクロス
MACDライン(黄色DIFF)がシグナルライン(紫色DEA)を上から下に抜く場合、デッドクロスが形成され、一般的に相場の下落トレンドを示しています。
例えばBTC相場では、2022年2月28日に4時間足チャートでゴールデンクロスが発生し、BTCの価格は 38,413USDT から 45,296USDTまで、一週間の最高値に急騰しました。
また、2022年3月3日に、4時間足チャートにデッドクロスが現れ、BTCの価格は44,346USDT から 37,222USDTまで急落しました。
2. MACD指標の設定(12, 26, 9 )
通常は、ほぼ全ての取引所が MACD(12,26,9)を設定しています。
短期の期間を12日、長期の期間を26日、二つの値の差の単純移動平均の期間を9日に設定したものです。これは、金融の株式市場が初期の頃1週間に6日、1ヶ月で平均26日の取引日があったためです。
このパラメータに従って設定されたMACD指標は、5分足から30分足までのチャートでは投資家にあまり価値をもたらさず、通常1時間足、4時間足、日足チャートが使用されています。
また、チャートの「時計アイコン」 ー「MACD」をクリックすると、ユーザーの皆様はお好みに合わせてMACD指標の設定を変更することもできます。
MACDの数値(棒グラフ)は、ゼロ軸の上や下に移動します。MACD数値がゼロ軸の上にあるときは、黄色の12日EMA(DIFF)が紫色の26日EMA(DEA)よりも範囲が大きく、勢いが上向きになっていることを意味します。MACDの数値(棒グラフ)がゼロ軸の下にあるときはその逆で、下向きに伸びていることを意味します。
3. MACD指標のダイバージェンス
通常、価格トレンドとMACD指標が収束している時、相場の激しい変動により、MACD指標はその変動に対する感度が低いため、資産の価格トレンドに追随しないことがあります。この結果、MACD指標と資産価格の間に乖離が生じ、MACDは現在のトレンドとは逆方向に動いているように見えます。ダイバージェンスが発生すると、トレンドが反転するケースが多く、転換ポイントの見極めによく使われます。
ベアリッシュ・ダイバージェンス(Bearish divergence): ローソク足チャートが上昇トレンドで動いているにもかかわらず、MACD指標が下降トレンドに見える場合、この現象はベアリッシュ・ダイバージェンスと呼ばれます。これは、価格の上昇が下支えとなる取引高を欠いていることを意味し、大規模な下落の可能性を示唆し、乖離の幅が大きいほど、相場の変動は激しくなると予想されます。
ブリッシュ・ダイバージェンス(Bullish divergence):相場が下落しているにもかかわらず、MACD指標が上昇トレンドにあるように見える場合、これはブリッシュ・ダイバージェンスと呼ばれます。通常、上昇トレンドを示唆し、同じように乖離の幅が大きいほど、予想される上昇トレンドは激しくなると言われます。
最後に
MACD指標はよく使われるテクニカル指標であり、中長期的な投資戦略を立てる上で比較的重要な意味を持っています。しかし、短期的な相場変動や突発的な相場状況には鈍感であります。したがって、MACD指標を投資の参考とする場合には、ニュース分析や市場センチメント、短期的なテクニカル指標にも注意を払う必要があります。
免責事項:暗号資産取引には重大なリスクが伴い、投資した資本が失われる可能性があります。これらの資料は、投資、税務、法務、財務、会計、コンサルティング、またはその他の関連サービスに関するアドバイスの提供とは関係がなく、資産の購入、売却、または保有に関する推奨事項でもありません。 MEXC Learnは情報のみを提供し、経済的なアドバイスは提供しません。投資する前に、関連するリスクを完全に理解していることを確認する必要があります。
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