2025年10月27日、日本初の円建てステーブルコイン「JPYC」が正式にリリースされました。JPYCは日本円と1:1で価値が連動し、ブロックチェーン上で24時間365日、低コストで送金・決済ができる新しいデジタル通貨です。
従来の仮想通貨とは異なり、価格変動がほとんどないため、安心して日常的な決済や送金に利用できます。しかも、JPYC株式会社は2025年8月に資金移動業者として金融庁の登録を取得しており、法的な裏付けと信頼性も確保されています。
本記事では、JPYCの基本的な仕組みからメリット・デメリット、具体的な始め方、そして今後の将来性まで、初心者にもわかりやすく徹底解説します。
目次
JPYCとは?

JPYCは日本円と1対1で連動する日本初の円建てステーブルコインです。ブロックチェーン技術を活用し、銀行を介さずに送金や決済ができる新しい形のデジタル通貨として注目されています。ここでは、JPYCの基本情報とステーブルコインについて解説します。
JPYCの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | JPYC(ジェイピーワイシー) |
| 発行体 | JPYC株式会社 |
| 価値 | 1JPYC=1円 |
| 対応チェーン | Ethereum、Polygon、Avalanche |
| 法的位置づけ | 電子決済手段(資金移動業者) |
| 登録機関 | 金融庁(関東財務局長第00099号) |
| 正式リリース | 2025年10月27日 |
JPYCの最大の特徴は、価格が安定していることです。ビットコインやイーサリアムのように価格が大きく変動することがないため、「デジタル版の日本円」として安心して保有・利用できます。
発行の仕組みはシンプルで、ユーザーがJPYC株式会社に日本円を入金すると、同額のJPYCトークンが発行されます。発行残高の100%以上を預金や国債などで保全し、金融庁の監督下で運営されているため、信頼性も高い設計です。
2025年10月27日の正式リリースでは、わずか24時間で発行量が3,700万JPYCを突破し、円建てステーブルコインへの高い関心が示されました。
ステーブルコインについて
ステーブルコインとは、法定通貨(円やドル)や金などの資産と価値を連動させることで、価格の安定性を保つように設計された仮想通貨のことです。一般的な仮想通貨は市場の需給によって価格が大きく変動しますが、ステーブルコインは常に一定の価値を維持することを目指しています。
ステーブルコインの主な目的は、仮想通貨の利便性(即時送金、低コスト、国境を越えた取引など)を活かしながら、価格変動リスクを抑えることです。これにより、決済や送金など実用的な用途での活用が可能になります。
代表的なステーブルコイン
世界的には米ドル連動のUSDTやUSDCが広く使われており、仮想通貨取引の基軸通貨として機能しています。一方、JPYCは日本円に連動する国内初のステーブルコインとして、円建てでの決済や送金を実現します。
JPYCを使うことで、為替リスクを気にすることなく、日本円と同じ感覚でブロックチェーン上のさまざまなサービスを利用できるようになります。
JPYCのメリット
JPYCには、従来の銀行送金や電子マネーにはない多くの利点があります。ここでは特に重要な3つのメリットを紹介します。
価格の安定性と低コスト
JPYCは1JPYC=1円に固定されているため、ビットコインやイーサリアムのような価格変動リスクがありません。友人に10,000JPYCを送金すれば、相手は確実に10,000円相当の価値を受け取れます。
さらに、銀行送金と比べて手数料が圧倒的に安いのも特徴です。銀行の国内送金では220〜880円、国際送金では2,000〜5,000円かかりますが、JPYCなら発行・償還手数料は当面無料で、送金時のガス代も数円〜数百円程度です。
透明性と法的信頼性
JPYCのすべての取引はブロックチェーン上に記録され、誰でも確認できます。取引履歴が改ざん不可能な形で保存されているため、不正取引を防げます。
さらに、JPYC株式会社は資金決済法に基づく資金移動業者として金融庁に登録されており、定期的な監査や報告義務が課せられています。発行残高と同額以上の円資産を保全することが義務付けられているため、利用者の資産が保護される仕組みです。
幅広い用途
JPYCは個人間送金だけでなく、オンライン決済、国際送金、NFT購入、DeFi運用など、さまざまな場面で活用できます。今後は企業からの給与支払いや、コンビニでの日常的な買い物にも対応予定です。
JPYCのデメリット・リスク
JPYCには多くのメリットがある一方で、利用する際に注意すべき点もあります。
利用環境と技術的ハードル
2025年10月にリリースされたばかりのため、現時点で使えるサービスはまだ限られています。主な利用先は個人間送金、一部のNFTマーケットプレイス、DEXでの交換などで、スーパーやコンビニで直接買い物をすることはほとんどできません。
また、JPYCを利用するにはMetaMaskなどのWeb3ウォレットの操作が必要で、ブロックチェーンの基礎知識も求められます。銀行振込のように直感的に使えるわけではないため、初心者には少しハードルが高いかもしれません。
制度面のリスク
日本のステーブルコイン規制は2023年に整備されたばかりで、まだ制度として成熟していません。今後、発行・償還の上限額変更、手数料ルールの変更、税制の変更などが起こる可能性があります。
さらに、銀行の預金保険のような補償制度がないため、すべて自己責任となります。高額を保有する場合は、ハードウェアウォレットの利用や複数ウォレットへの分散保管を検討しましょう。
JPYCの始め方
JPYCを実際に使い始めるには、以下の4つのステップを踏む必要があります。詳細は以下のようになります。
- アカウント開設・本人確認:基本情報を入力して、アカウントを開設。マイナンバーカードと電子証明書のパスワードを準備しましょう。
- ウォレットアドレス登録:MetaMaskなどのWeb3ウォレットをJPYC EXに登録します。利用するネットワーク(Ethereum/Polygon/Avalanche)も選択してください。
- 発行予約・銀行振込入金:発行したい金額を指定(3,000円以上)し、案内された銀行口座に振り込みます。入金が自動で確認され、すぐに反映されます。
- JPYC発行:入金確認後、自動的にJPYCが発行され、登録したウォレットに送付されます。ウォレットで残高を確認し、すぐに利用できます。
JPYCの将来性と今後の展望

JPYCは2025年10月27日にリリースされたばかりですが、今後の成長に大きな期待が持たれています。今後の展望、そして具体的な企業連携について見ていきましょう。
今後の展望
企業やトレーダー層を中心に浸透が進みます。B2B決済での活用、法人の資金管理効率化、Web3企業での給与支払いなどが期待されます。また、電算システムとの提携により全国6万5千店舗以上のコンビニでの決済対応や、nudgeカード経由でのVISA加盟店利用も始まります。
一般層への普及が進み、日常的な買い物での決済手段として定着することが期待されます。スマートフォンアプリの改善により、ブロックチェーンの知識がなくても簡単に使えるようになり、給与受取や公共料金支払いにも対応する見込みです。
市場規模
JPYC株式会社は3年で発行残高10兆円を目標としており、円建てステーブルコイン市場全体では5年後に最大83兆円規模に拡大すると予想されています。世界のステーブルコイン市場は時価総額42兆円超ですが、その98%以上が米ドル建てで、円建て市場はこれから大きく成長する段階です。
新たな活用方法
スマートコントラクトによる自動決済、サプライチェーン管理の効率化、クラウドファンディングでの透明な資金管理、メタバース・GameFiでの円建て取引など、さまざまな新しい使い方が実現しつつあります。
特にアジア圏での円建て決済ネットワーク構築により、海外の企業や個人も日本円で取引に参加できるようになり、円の国際的な利用拡大が期待されています。
よくある質問(FAQ)
Q1. JPYCは暗号資産(仮想通貨)ですか?
いいえ、法律上は「電子決済手段」に分類されます。価格が安定しており、決済・送金に特化した設計です。
Q2. JPYCとPayPayの違いは?
JPYCはブロックチェーンで分散管理され、Web3サービスや国際送金に対応しています。PayPayは企業が中央管理する電子マネーで、主に国内の提携店舗での決済に使われます。
Q3. ディペグは起きませんか?
基本的に起きません。発行残高の100%以上を円資産で保全し、公式プラットフォームで常に1円で交換できるため、価格は安定しています。
Q4. 秘密鍵を紛失したらどうなりますか?
復旧できません。リカバリーフレーズを紙に書いて安全な場所に保管し、複数箇所にバックアップを取ることをおすすめします。
Q5. 手数料はかかりますか?
発行・償還手数料は当面無料です。銀行振込手数料とガス代(数円〜数百円)は別途必要です。
Q6. 送金に上限はありますか?
発行・償還は1日100万円までですが、ウォレット間の送金や保有には上限はありません。
まとめ
JPYCは日本円と1:1で連動する日本初の円建てステーブルコインで、2025年10月27日に正式リリースされました。金融庁登録済みの資金移動業者が発行し、24時間365日低コストで送金・決済が可能です。
今後は3年で10兆円規模を目指し、コンビニ決済や給与支払い、日常的な買い物など幅広い場面での利用が期待されています。ただし、現時点では対応サービスが限られており、ウォレット操作やセキュリティ管理は自己責任となる点に注意が必要です。
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