Chainlinkは9月28日、複数のブロックチェーン間で資産を動かす基盤「CCIP」の新版、CCIP 2.0を公開しました。機関が既定ネットワークに加えて独自検証者を追加できることが中心で、Kelp DAO(DAOは多数決で意思決定する組織形態)流出後に問われるブリッジ(異なるブロックチェーン間で資産を移す仕組み)検証の単一点リスクに関わる更新です。
- Chainlinkは9月28日にCCIP 2.0を公開
- 機関はCCVで独自検証者を追加できる設計
- 16ノード委員会による既定検証は継続する設計
- Kelp DAO流出後、単一点リスクが焦点
- 18社参加も本番導入は公開直後まだ限定的
CCIP 2.0による独自検証者の追加
Chainlinkは9月28日、ブロックチェーン間の送金基盤であるCCIP 2.0を公開しました。CCIPは、ステーブルコイン、wrapped Bitcoin、トークン化ファンドなどを、個別にブリッジを構築せず複数のブロックチェーン間で動かすためのソフトウェア層です。
ブリッジは、送金元で資産が動いたことを確認し、送金先で反映させる役割を持ちます。CCIP 2.0の中心となる新機能はCross-Chain Verifier(CCV)です。機関はChainlinkの既定ネットワークだけに依存せず、自社の検証者を運用するか、InfosysやNethermindのような企業から検証者を利用できるようになります。Amazon Web ServicesとGoogle Cloud向けのスターターキットも用意されています。
Risk Management Networkの役割変更と既定検証の継続
Chainlinkの既定検証は、16の独立ノード運営者で構成される委員会が引き続き担います。この委員会は、各送金について取引の正当性に合意する仕組みです。
変更点は、主委員会の作業を二重に確認していたRisk Management Networkの位置づけです。Chainlinkのドキュメントには、Risk Management Networkの自動的な外部検証の役割は現行のCCIP実装では稼働しておらず、将来のリリースで任意の検証層として提供される見込みだと記載されています。
ブロックチェーン上の契約は緊急時の備えとして残る一方、独立した追加チェックは任意のCCVで補う設計になります。機関が追加検証者を設定しない場合、検証は既定ネットワークに依存する形です。
Kelp DAO流出後の移行例と限定的な本番導入
今回の公開は、4月にKelp DAOで約2億9,200万ドルが流出した事件から5カ月後の動きです。Kelp DAOは、イーサリアムのステーキングとチェーン間移動に関わるプロトコルです。この事件では、北朝鮮に関連するとされるLazarus Group系のハッカーが関与したとされています。
KelpのブリッジはLayerZero上で動き、単一の検証者を使う構成でした。LayerZeroはその後、この構成を誤りだったとして新規導入でのサポートを停止しました。KelpはLayerZero側が構成を承認し、リスクを指摘しなかったと主張し、LayerZeroは自社の推奨に反する構成だったとして反論しています。
この事件後、Kelpに加え、Krakenのビットコイン関連トークンとLombard Financeの10億ドル超のビットコイン連動資産がChainlinkへ移行しました。Chainlinkは、過去4カ月で150億ドルのトークン化資産が同社の基盤へ移行し、CCIPが840億ドル超のクロスチェーントークン価値を支えているとしています。CCIP 2.0の立ち上げパートナーは18社とされていますが、新しい検証者を使った確認済みの本番導入は、公開直後の時点ではまだ限られています。
