移動平均線(MA)について

暗号資産市場は、従来の金融市場と同様の法則に従って動くものです。

両市場とも需給関係やマクロ・ミクロ環境に反応し、個々の暗号資産は株式に類似した特性を持っているといえるでしょう。

各暗号資産には独自の市場特性と価値提案があり、それが価格変動の背景となっているのです。

投資家は市場経験、ニュース分析、実践的取引を通じて、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を活用することで、より正確な市場予測を立てられるようになります。

本稿では、最も基本的なテクニカル分析指標の一つである「移動平均線（MA）」について解説していきます。

移動平均線(MA)とは

移動平均線とは、一定期間の資産価格の平均値を曲線で表示する統計分析手法です。

価格が短期的に大きく変動しても、中長期的には平均線に収束する傾向があるといわれています。

このシンプルかつ普遍的な性質から、移動平均線は多くの市場参加者が重視するテクニカル指標の1つとなっているのです。

MEXCのローソク足チャートでは、5日間移動平均線（MA5）、10日間移動平均線（MA10）、30日間移動平均線（MA30）、60日間移動平均線（MA60）が初期設定されており、それぞれ黄色、紫色、青色、赤色の線で表現されています。

もちろん、ユーザーは必要に応じて期間設定をカスタマイズすることもできます。

移動平均線のメリットとデメリット

メリット：移動平均線はローソク足の基本的なトレンドを反映し、市場の一時的な「ノイズ」を取り除くことが可能です。これにより、投資家は客観的かつ明確に相場のサイクル的なトレンドを把握できるのです。また、複数の移動平均線の位置関係や交差点は、重要な売買シグナルとして活用できるでしょう。

デメリット：移動平均線は過去の価格データから算出されるため、その変化は比較的遅く、実際の価格変動に対してタイムラグが生じてしまいます。このため、移動平均線から得られる相場予測は、短期よりも中長期の投資戦略において効果的だと考えられているのです。

移動平均線（MA）の運用例

1. 移動平均線を通じて上昇トレンド、下落トレンドのシグナル予測

ここでは短期指標として5日移動平均線（MA5）、中期指標として10日移動平均線（MA10）、長期指標として30日移動平均線（MA30）を基準に説明してみます。

上記のMEXCローソク足チャートは、2021年9月から2021年11月までのBTCの相場トレンドにおける2つの重要なポイントで、ローソク足チャートは日足で表示したものです。

①　取引価格は長期的に MA30 を下回っている

9月1日から9月24日まで、ローソク足は青線（MA30）を上抜けようとしましたが、MA30はローソク足の上に位置し続けたのです。

これは、この期間に取引された現物が長期保有者によって保持されておらず、トレーダーの仕込み価格の大半が最安値39,621 USDT以下にあったことを示唆しているといえるでしょう。

約1ヶ月間にわたり現物が市場で売却される状況が続いた後、10月に入ると、下落した価格帯で新たな買い手が現れ、40,000 USDTを超えると強気相場へと転換していきました。

ここから上昇トレンドが始まり、市場のセンチメントがさらに価格を押し上げる方向に働いたのです。

したがって、10月初旬にローソク足がMA30を上回り始めた時点で、新たな上昇トレンドのシグナルが確認できたというわけです。

②　取引価格は長期的に MA30 を上回っている

10月中旬、取引価格は半月ほどMA30を上回っていました。

この時点で、長い下ヒゲを持つ長い陰線が示すように、市場の買い手は高値に対して徐々に抵抗感を示し、利益確定の売りが出始めたのです。

10月17日以降、BTC価格は上昇トレンドを維持していましたが、ローソク足の下ヒゲが長くなり、売り手からの値下げ圧力が強まっていることがわかります。

10月26日頃から買い手と売り手のせめぎ合いが始まり、約2週間のレンジ相場を形成した後、最高値68,999 USDTを記録したのです。

その後、価格は下落トレンドに転じ、11月27日以降は前回の安値39,621 USDTに向けて下落し始めました。

注： 一般的に、ローソク足が移動平均線から大きく乖離する時は上昇・下落トレンドの始まりだといわれています。そして、トレンドが終了に近づくと、乖離した移動平均線は再びローソク足に接近する傾向があるのです。

2.　MAが交差する際のシグナル

期間の異なる2本の移動平均線が交差すると、市場参加者はこれを新たなトレンド発生のシグナルと捉えます。

このシグナルは、異なる時間軸における投資家の平均コストが収束したことを意味し、多くの買い手と売り手が同じ行動パターンを取っていることを示しているのです。

取引参加者が増加することで、市場は上下どちらにも大きく動く可能性が高まります。

通常、2つの移動平均線が接近・重複している期間が長いほど、その後の価格変動はより激しくなる傾向があるのです。

最後に

一般的に、移動平均線がローソク足より下にある場合は、現在の価格が平均価格を上回っており、上昇トレンドの可能性を示唆しているといえるでしょう。

逆に、移動平均線がローソク足より上にある場合は、現在価格が平均価格を下回っており、下落トレンドの可能性が高いと考えられます。

投資家は移動平均線のパターン、クロスシグナル、方向性などを分析することで、市場状況をより正確に把握し、将来の価格動向を予測できるようになるのです。

これらの知識を実践に活かせば、より効果的な投資判断につながることでしょう

免責事項：暗号資産取引には重大なリスクが伴い、投資した資本が失われる可能性があります。これらの資料は、投資、税務、法務、財務、会計、コンサルティング、またはその他の関連サービスに関するアドバイスの提供とは関係がなく、資産の購入、売却、または保有に関する推奨事項でもありません。 MEXCは情報のみを提供し、経済的なアドバイスは提供しません。投資する前に、関連するリスクを完全に理解していることを確認する必要があります。