Zcash開発陣が9月28日にProject Tachyonの構成要素UdonをZakura Commonへ投入しました。プライバシー保護型送金の大量処理に向けた統合作業の開始であり、Tachyonの速度実証やZcash上での有効化を示すものではありません。
- Zcash開発陣、9月28日にUdonを投入
- Zakura Commonは秘匿送金の作成・検証を担います
- Common改良で3秒超から200ミリ秒未満へ
- Tachyon有効化ではなく追加レビューが焦点
Udon投入で始まったTachyon統合
プライバシー特化型ブロックチェーンのZcashで、提案中のスケーリング更新Project Tachyonの一部が既存ソフトウェアへ組み込まれ始めました。Project TachyonリーダーのSean Bowe氏の説明では、9月28日にUdonがZakura Commonへリリースされました。
Udonは、Project Tachyonの一部として最初に開発された構成要素です。投入先のZakura Commonは、Zakuraや他のZcash関連プロジェクトが共有する暗号ライブラリで、プライバシー保護型送金の作成と検証に関わる処理を担います。Bowe氏のチームとDev Ojha氏のValar Groupが、Zakuraを共同で開発しています。
秘匿送金を支えるCommon改良の位置づけ
Zcashのウォレットは、誰が誰にいくら支払ったかを明かさずに、支払いが正しいことを証明する必要があります。ネットワークを動かすコンピューターは、その証明を確認します。Commonは、この重い計算作業の一部を扱う土台です。
これまでのCommon改良では、プライバシー保護型送金を1件作成する時間が、3秒超から一部テストで200ミリ秒未満へ短縮されました。ただし、今回のUdonリリース自体はTachyonの処理速度を示すものではありません。Udonは、開発済みの高速化コードを土台に、Tachyonで必要になる計算をCommonへ持ち込む段階にあります。
毎秒5万件超の目標とノード負荷の削減構想
Bowe氏とOjha氏は、長期目標として毎秒5万件超のプライバシー保護型決済を掲げています。この水準では、現在の暗号技術のままなら各Zcashノードが毎秒500メガバイト超のデータを受け取る必要があると見積もられています。
Tachyonは、多数の決済の証明をまとめることで、ノードが受け取り確認するデータを減らす構想です。多くの決済で1つの証明を共有できれば、Zcashのコンピューターが確認する量は小さくなります。一方で、その証明を作る側ではより多くのメモリが必要になるため、開発チームはCommonで高速化してきたコードを使って構築を進めています。
有効化前に残る追加開発とセキュリティレビュー
Udonはソフトウェアとしてリリースされましたが、TachyonのアップグレードはZcash上で有効化されていません。提案中のアップグレードが実際に動くには、追加開発とセキュリティレビューが必要です。
現在の利用量も、長期目標とは大きく離れています。ZecStatsのデータでは、シールド資金を含む取引の平均は9月21日までの7日間で1日約1万1700件、9月28日までの7日間で1日約6200件でした。今回のUdon投入は、ただちに利用者の送金速度を変える発表ではなく、将来の大量利用に備えるための統合作業の開始と位置づけられます。
