米上院でCLARITY Actの討論開始手続きが9月15日に49対50で失敗し、必要な60票に届きませんでした。賛成側にもステーブルコイン利回り修正を求める議員が残り、SEC・CFTCの規則整備が議会外の明確化ルートとして並行して進んでいます。
- CLARITY法案は49対50で60票に届かず
- 共和党のCollins氏ら3人も反対票
- 賛成4議員が利回り修正案にも署名
- Fairshakeは上院選へ3000万ドル計画
- 5年免除などSEC・CFTCの暫定性が焦点
49対50の手続き投票と60票までの不足
暗号資産市場構造法案「CLARITY Act」は、暗号資産市場の連邦ルールを定め、米証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の監督分担を整理する法案です。9月15日の上院手続き投票では、賛成49票、反対50票となり、必要な60票に届きませんでした。
出席した民主党議員は全員が反対し、共和党ではSusan Collins、Josh Hawley、Jerry Moranの各議員も反対しました。Thom Tillis議員は、後に法案を再び取り上げられるようにする手続き上の理由で反対票へ切り替えたとされています。再投票の日程は決まっていません。
賛成票の中に残るステーブルコイン利回り修正
票数上の焦点は、すでに賛成した議員の中にも修正要求が残っている点です。John Cornyn、John Curtis、Cindy Hyde-Smith、Lisa Murkowskiの4議員は、9月15日の手続き投票で賛成した一方、Jerry Moran議員のステーブルコイン関連修正案にも署名しています。
この修正案は、ステーブルコイン発行者が利用者へ支払う報酬の扱いを広く規制する内容です。現行案の「利息の支払いと経済的または機能的に同等」という基準を、預金機関の利息や利回りの支払い方に「実質的に類似する」ものまで広げ、口座残高や保有期間などに基づく報酬計算を認める条項も削る内容です。銀行側は、取引所や関連会社、ロイヤルティプログラムを通じた報酬が、実質的に預金利息のように働くことを懸念しています。
署名は直ちに反対票を意味しません。ただし、4人全員が将来の投票で反対へ回ると仮定した単純計算では、賛成は45票となり、60票までの不足は15票へ広がります。
倫理規定と銀行側要求を同時に抱える交渉
CLARITY Actをめぐる交渉は、ステーブルコイン利回りだけではありません。民主党側は、公職者の暗号資産関連の金融利害に関する規定を強めるよう求めてきました。9月14日の草案には、州司法長官による新たな執行役割などが盛り込まれましたが、翌日の手続き投票では民主党から賛成票は出ませんでした。
このため、法案の票固めは二つの別々の争点を同時に抱えています。一つは銀行寄りの共和党議員や銀行団体が求めるステーブルコイン利回り規制です。もう一つは、民主党や倫理規定を重視する議員が求める利益相反対策です。
選挙資金と行政手続きに移る規制明確化の圧力
法案停滞の後、選挙資金の動きも強まりました。Fairshakeは、オハイオ州上院選でSherrod Brown元上院議員に反対するため、3,000万ドルを投じる計画です。同団体は2024年にもBrown氏を落選させるため約4,000万ドルを支出しており、2026年選挙向けには2025年1月までに1億1,600万ドルを集め、8月末時点で1億800万ドルを残していました。Public Citizenの8月27日のFEC記録分析では、暗号資産企業によるスーパーPACとハイブリッドPACへの拠出は2026年第2四半期までに2億600万ドルに達し、開示ベースでは同中間選挙サイクル最大の企業献金セクターとされています。
行政側でも、議会外の規則整備が進んでいます。SECのCrypto Task Force主任弁護士Taylor Lindman氏は、投資会社とブローカーディーラーの双方を対象とする暗号資産保管規則案がホワイトハウスの審査中だと説明しました。SECはトークン化証券の免除措置や暗号資産発行を認める規則案にも取り組んでいます。
Franklin CryptoのChris Perkins氏は、SECとCFTCの対応により、法律がなくても機関投資家にとっての明確性は得られているとの見解を示しました。一方で、SECのイノベーション免除は5年間の期限付きで、CFTCの最近の暗号資産関連文書も委員会を拘束しない暫定的な性格を持つとされています。法案が成立していない現状では、規制明確化の道筋は、上院の再投票、選挙資金の圧力、行政機関の規則整備に分かれています。
