英国貴族院は、財務省にデジタル資産規制の国家戦略策定を求める修正条項を194対138で可決しました。暗号資産、ステーブルコイン、CBDC、トークン化証券まで含む広い政策設計が、下院審議の焦点になります。
- 英上院は194対138で修正条項「Digital assets strategy」を可決しました。
- 対象は暗号資産、適格ステーブルコイン、CBDC、トークン化証券
- 財務省には国家戦略の策定、公表、協議が求められます。
- 下院での扱いと財務省側の対応が次の焦点
上院採決の内容
水曜、英国貴族院はFinancial Services and Markets Billの修正条項「Digital assets strategy」を194対138で可決しました。政府は反対していましたが、保守党と自由民主党の議員が労働党の反対票を上回りました。
提出者は保守党の元財務相Baroness Neville-Rolfeです。修正条項は、財務省に対してデジタル資産規制の国家戦略を策定し、公表し、協議する義務を課す内容です。
今回の採決は、英国で暗号資産規制を個別の制度対応にとどめず、国家戦略として扱う方向を上院が示した出来事です。ただし、制度化には下院での扱いが残ります。
国家戦略が扱う資産範囲
修正条項の対象には、暗号資産、適格ステーブルコイン、中央銀行デジタル通貨、トークン化証券、その他のデジタル・トークン化金融資産が含まれます。単一の暗号資産ルールではなく、決済、証券、市場インフラまで広く見渡す設計です。
CBDCは中央銀行が発行するデジタル通貨を指します。ステーブルコインは、法定通貨などに価値を連動させる設計の暗号資産です。これらを同じ戦略文書で扱うことで、英国の規制方針は民間の暗号資産と公的なデジタル通貨の両方を含む形になります。
英国規制と主要国の比較
英国ではFCAが6月に暗号資産の規制枠組みを確定し、制度の発効日は2027年10月25日です。事業者の認可ゲートウェイは9月30日に開き、2027年2月28日まで続く予定です。
主要国でも制度整備は進んでいます。EUのMiCA(EUの暗号資産規制)は2024年12月30日からサービス提供者へ適用されています。米国では2025年7月にGENIUS Actが成立し、Clarity Actは同月に下院を294対134で通過した後、上院で審議が続いています。
英国の修正条項は、こうした主要国の動きと並ぶ形で、デジタル資産の規制を国家戦略として明文化する狙いを持ちます。対象範囲が広い分、財務省、規制当局、市場参加者の調整が重要になります。
下院審議の焦点
今回の修正条項は上院での可決段階です。今後は下院でどのように扱われるか、財務省がどの範囲まで戦略策定に応じるかが焦点になります。
暗号資産規制は、投資家保護だけでなく、決済、証券市場、中央銀行通貨の設計にも関わります。英国が国家戦略を公表する流れになれば、事業者にとっては認可準備だけでなく、中長期の規制方針を読む材料が増えることになります。
