TD Securitiesは、米証券取引委員会(SEC)がトークン化株式取引の5年間の枠組みを設けても、需要は限定的にとどまるとの見方を示しました。一方、Ondo Financeは、承認済みの機関投資家が既存の株式・ETF保有をOndo Stocksトークンへ交換し、逆に原株へ戻せる現物交換の仕組みを開始しており、実際の需要を測る具体例になり得ます。
- SECの5年間枠組みがあっても、TD Securitiesは米投資家の既存株アクセスと発行体側の関心不足を需要制約として見ています。
- TDが調べたBinanceのスナップショットでは、Nvidia関連の想定元本出来高の96%が無期限先物(満期のない先物取引)、トークン化現物は4%にとどまり、無期限先物の出来高が大きく上回っています。
- Ondo Financeの現物交換は、承認済み機関がAlpaca口座の株式・ETFをOndo Stocksトークンへ交換し、逆に原株へ戻せる仕組みです。
- 焦点は、制度整備の有無だけでなく、機関投資家が既存保有をオンチェーン(ブロックチェーン上で直接記録・処理される形)へ移す必要性を見いだすかどうかにあります。
SEC新枠組み下での需要限定説
SECは、CLARITY法案の審議が前進しなかった数日後、トークン化株式を伝統的市場の外で取引する5年間の枠組みを新設しました。トークン化株式とは、株式やETFに関わる権利をブロックチェーン上のトークンとして扱う仕組みです。
TD Securitiesは、この枠組みがあっても短期的な採用は限定的になるとみています。理由として、米国の投資家が既に株式へ容易にアクセスできることと、発行体側がトークン化に強い関心を示していないことが挙げられています。TDが数十社の発行体と話した範囲では、Figureのような暗号資産関連企業を除き、トークン化への関心は薄かったとされています。そのFigureでも、TDが調べた24時間の取引では、想定元本の99.9%が従来の上場株式(FIGR)を通じて行われ、ブロックチェーン上の株式(FGRS)での取引はごくわずかにとどまりました。TD Securitiesは、トークン化された取引の場が、流動性の薄さや運用の複雑さを上回る利点を示す必要があるとしています。
無期限先物との需要差
暗号資産経由で株式の値動きにアクセスする手段では、トークン化現物よりも無期限先物の出来高が大きいとされています。TDが調べたBinanceのスナップショットでは、Nvidia関連の想定元本出来高の96%が無期限先物、現物商品は4%でした。TD Securitiesの見方では、株式エクスポージャーへの需要が、必ずしも現物に近いトークン化株式へ向かうとは限りません。
この差は、制度整備だけではトークン化株式の需要拡大を説明しにくいという分析の背景です。米国の投資家にとって既存の株式アクセスが十分に使いやすい場合、トークン化株式には別の利用理由が求められます。
Ondoの機関向け現物交換
Ondo Financeは、承認済みの機関投資家を対象に、Alpaca口座の株式・ETFをOndoへ内部振替し、対応するOndo Stocksトークンをオンチェーンで発行する仕組みを開始しました。逆方向では、トークンを償還して原株を受け取ることもできます。
この仕組みは、現金を拠出してトークンを発行する従来の方式に加え、機関投資家が保有する原株そのものを使って発行・償還できる点が特徴です。Ondoによれば、この方式により、トークン化した在庫を作るために必要な追加資本を減らせる可能性があり、資金調達コストや、原株とトークンの間のタイミングのずれも小さくできる可能性があるとしています。
現物交換はEthereumとBNB Chainで利用でき、対象はAlpacaが承認した機関投資家に限られます。利用するにはAlpacaとOndoの両方に口座が必要です。
実需を測る焦点
TD Securitiesの分析は、米国投資家の既存アクセスと発行体の関心を需要制約として示しました。Ondoの仕組みは、その制約が残る中で、機関投資家が既存保有をトークン化された形へ移すかを確認する材料になり得ます。
焦点は、SECの枠組みの有無だけではなく、承認済み機関が現物交換を利用してオンチェーンの株式エクスポージャーを持つ必要性を見いだすかにあります。
