米上院側は、USDTがイランの制裁回避に使われる主要経路になっていると指摘したとされています。一方、Tetherは2026年にイラン関連USDT約5億5,000万ドルの凍結に協力したと説明しており、利用実態への懸念と凍結協力の実効性が論点になっています。
- 米上院側がUSDTの制裁回避利用を主要経路と指摘
- Tetherは約5億5,000万ドル凍結協力を説明したとされます
- 846ウォレット中84%がほぼUSDT取引
- 米当局の調査要求と凍結協力の実効性が焦点
約5億5,000万ドルのイラン関連USDT凍結協力
ステーブルコイン発行体のTetherは、2026年9月28日の声明で、イランに関連するUSDT(米ドルに価値を連動させるステーブルコイン)について、同年に約5億5,000万ドルの凍結に協力したと説明したとされます。制裁対象や犯罪組織による利用をめぐる批判に対し、Tether側は法執行機関との協力実績を前面に出した形です。
具体的な内訳として、2026年に4つのウォレット(暗号資産を保管・送受信するもの)で1億3,000万ドル超を凍結したこと、4月にイラン中央銀行に関連する3億4,400万ドル超を凍結したことが挙げられています。この2項目だけでは約5億5,000万ドルの全額には届かず、総額の残りを構成する案件の内訳は示されていません。
米上院側報告書の制裁回避指摘
同じ日に、米上院国土安全保障・政府活動委員会の常設調査小委員会の民主党調査担当者は、USDTがイランの制裁回避に使われる主要な経路になっているとする報告書を公表したとされています。報告書の内容として、イラン関連で制裁された846の暗号資産ウォレットのうち84%が、もっぱら、またはほぼUSDTだけで取引していたことが示されています。
この指摘を受け、Richard Blumenthal上院議員は、財務省と司法省に対して、制裁違反の可能性を調査するよう求めたとされています。ここで示されているのは調査要求であり、制裁違反が認定されたという内容ではありません。
当局協力を強調するTether側の説明
Tether側は、世界の当局との協力により、これまでに49億ドル超の資産凍結につながったと説明しています。このうち24億ドル超は米当局に関連するとされ、同社は米司法省、FBI、米シークレットサービス、OFAC(米財務省で制裁執行を担う部局)などとの連携を挙げています。
CEOのPaolo Ardoino氏は、TetherがUSDTを制裁対象者、テロ組織、犯罪ネットワークの隠れ家にしていないことを示してきたとの趣旨を述べています。Tether側の説明は、凍結や資産回収への協力を示す一方、上院側報告書が示した846ウォレット中84%という統計への個別の反論までは含んでいません。
凍結実績と利用実態の対立点
今回並んでいるのは、Tether側が示す凍結協力の実績と、米上院側が示すUSDT利用実態への懸念です。Tether側は、当局が問題のある資産を追跡・凍結・回収する際に同社の協力体制を使えると説明しています。一方、上院側の報告書は、制裁対象に関連するウォレットでUSDTの利用比率が高い点を問題視しています。
そのため、論点は「USDTが使われていたか」だけではなく、問題のある取引を見つけた後にどの範囲で凍結できるか、また制裁違反の可能性を当局がどう判断するかに分かれます。
