米上院常設小委員会の民主党議員団は2026年9月28日、USDTがイラン政府の制裁回避に使われているとする報告書を公表しました。Tetherは同日、イラン関連の凍結支援が約5.5億ドルに上ると反論しており、発行体の凍結対応が焦点です。
- 2026年9月28日の報告書がUSDT利用を指摘
- イラン政府の前年取引は推計20億ドルと記載
- Tetherは約5.5億ドルの凍結支援で反論
- 2024年以前のTether凍結対応も批判対象
民主党議員団によるUSDT利用指摘
米上院国土安全保障・政府活動委員会の常設小委員会に属する民主党議員団は、2026年9月28日に公表した報告書で、米ドル連動型ステーブルコイン(法定通貨などに価格を連動させる暗号資産)であるUSDTが、イラン政府による国際制裁回避の手段になっていると主張しました。
報告書は、イランの暗号資産を使った影の銀行ネットワークが多額の資金を処理し、複数のイラン関連主体に関わっていると指摘しました。そのうえで、USDTが同ネットワークの中で「金融の生命線」に近い役割を持つと位置づけています。
報告書は、イラン政府が前年に推計20億ドルの取引を行ったとしました。一方で、同報告書が主張するイラン政府のUSDT取引総額については、全体額としての数字は示されていません。
指定ウォレット凍結をめぐる批判
報告書の批判は、Tetherがイラン関連ウォレット(暗号資産を受け取ったり保管したりする場所)をどの程度凍結してきたかに向けられています。報告書は、Tetherがイランとつながるウォレットを繰り返し遮断できていないと主張しました。
具体的には、Tetherがウォレットを凍結する場合でも数週間かかることがあり、要請に対応しても実際にはブラックリスト化しない場合があるとしています。報告書はまた、2024年以前のTetherについて、対テロ当局に指定されたウォレットを包括的かつ一貫して凍結してこなかったと批判しました。
同報告書は、この抑止の欠如が悪用を招いたとの見方も示しました。例として、ハマスなどの組織がビットコインや複数の暗号資産での取引から、USDTを促す方向へ移ったとしています。
Tether側の凍結支援実績による反論
Tetherは同じ9月28日のブログで、報告書側の見方に反論しました。同社は、米当局などの要請に基づく近年の対応として、イラン関連の凍結を約5億5,000万ドル分支援したと説明しています。
Tetherのパオロ・アルドイノCEOは、各国政府が制裁回避やテロ資金供与への対策を強めるなかで、同社が米国や世界各国の当局と定期的かつ直接連携し、不正資金の特定と凍結を支援しているとの趣旨を述べました。
今回の争点は、USDTがイラン関連取引に使われたとする報告書側の主張と、Tetherが当局との協力や凍結支援を進めているとする同社の説明の食い違いです。公表内容として示された主な数値は、報告書側が挙げた前年の推計20億ドルと、Tether側が示した約5億5,000万ドルの凍結支援額です。
