アルトコイン市場では、指数の改善と個別銘柄の急伸が同時に見られる一方、全面的なアルトシーズン入りを示す水準には届いていません。上位10銘柄に時価総額の約80%が集まる構造は、資金が広く均等に回るより、収益性やテーマ性を持つ銘柄へ選別的に向かっている状況を示しています。
- 指数64で、アルトシーズン閾値75には未達です
- PONS350%超、UNI110%超などが上昇
- 上位10銘柄が時価総額の約80%を占有
- 収益性、ミーム、AIなど複数テーマが混在
指数64で閾値75に届かないアルトシーズン手前の市場
アルトコイン市場では、全面的なアルトシーズン入りを示すにはまだ届かないものの、資金の回転が始まっていることを示すデータが出ています。CoinMarketCapのAltcoin Season Index(アルトコインがビットコインより広く強いかを見る指数)は64で、前週の48から上昇しました。ただし、公式なアルトシーズンの目安とされる75は下回っています。
過去30日の値動きでは、ミームコインのローンチパッドであるPONSが350%超上昇しました。DeFi(仲介者を置かず、暗号資産の交換や運用を行う仕組み)ではUniswapのUNIが110%超、ArbitrumのARBが150%超、AI関連として扱われるNEARが約180%上昇しています。プライバシー関連のZcashは前週に1,600ドル超の最高値を付け、Bitcoin Layer-2(ビットコイン本体の混雑やコストを下げる補助ネットワーク)関連のLITやミームコインローンチパッドのPUMPも、同じ期間の上昇銘柄に含まれました。
収益を生むプロトコルという共通点と複数テーマの混在
BanklessのDavid Hoffman氏は、ARB、UNI、JUP、ONDOなどの上昇銘柄について、収益を生んでいる点が共通しているとの見方を示しました。この見方では、今回の上昇は単なる投機ではなく、実際に収益を出すプロトコルへの評価が背景にある可能性があります。
一方で、1inch共同創業者のSergej Kunz氏は、過去30日でミームコインの購入者の伸びが最も強かったと指摘しています。同氏は、DeFiプロトコル、プライバシー関連、AIプロジェクト、トークン化資産にも関心が向いているとし、広い範囲のトークンが小口で買われる「広がりが先、深さは後」という状態を説明しました。これは、資金が一方向へ一斉に流れているというより、複数のテーマへ選別的に参加している状態に近い整理です。
上位10銘柄に約8割が集まる市場構造
Talosのデータでは、上位10アルトコインがアルトコイン時価総額全体の約80%を占めています。2024年末時点の約70%から上昇しており、資金が長い裾野へ広く回るより、比較的少数の銘柄へ集まりやすい状況が示されています。
同社のSamar Sen氏は、9月のフローデータでも買いが優勢だったと述べています。強い動きが見られるテーマとして、収益を生むプロトコル、ブロックチェーン上の無期限先物(満期のない仮想通貨先物取引)、DeFi関連のHYPE、LIT、UNI、MORPHOが挙げられました。さらに、ZEC、NEAR、XMRなどのプライバシー関連、VVVやTAOなどのAI隣接トークン、PUMPやPONSを含むミームコインローンチパッドも取引対象になっています。
参加主体と取引経路の変化
今回の上昇では、取引を支える参加者の構成にも変化が見られます。Talosのデータでは、アルトコイン取引におけるディーラー参加比率が2024年末の約65%から9月には約32%へ低下しました。買い優勢のフローが続く中で、流動性提供者やマーケットメーカーの役割は前回のアルトコイン上昇局面より小さい可能性があります。
同時に、以前はRaydiumやOrcaのような分散型取引所(運営会社なしで取引できる交換所)へ直接アクセスする必要があった取引も、より一般的なプラットフォームから扱えるようになっています。個人投資家の参加ハードルが下がる一方、専門的なトレーダーはウォレット追跡やコピートレードを使い、どの資金がどのプロトコルやチェーンへ動いているかを見ています。今後の判断材料は、指数が75を超えるかどうかだけでなく、資金が少数銘柄への集中からより広い銘柄群へ広がるか、収益性以外のテーマがどこまで続くかにあります。
