Kraken親会社のPaywardは、Krakenの取引・保管・清算などの基盤を法人向け金融インフラへ広げています。少なくとも25社がPayward Services上で商品を構築しており、買収とNasdaq連携、xStocksのIPO関連商品が、取引所以外へ基盤を広げる焦点です。
- Payward Servicesで25社以上が構築
- Kraken660万口座が共通基盤の一部
- Nasdaq連携は2027年第2四半期見込み
- Oura関連xStocksは適格性が条件
Paywardが掲げる一つの台帳による事業統合
Paywardは、Krakenを中心とする暗号資産取引所の運営から、複数の金融機能を支えるインフラ企業へ広がろうとしています。Sethi氏は、取引、銀行、資産運用、機関投資家向けサービスを共通の基盤で動かす構想を説明しています。
中心にあるのは、一つの台帳で資金と資産を商品間で移動できるようにする考え方です。従来の金融では、銀行、証券会社、保管機関、清算機関が別々の記録を持つため、照合や仲介に時間と費用がかかります。Paywardは、ブロックチェーン上の共有基盤を使い、この分断を小さくすることを狙っています。
同社はこの構想を、Krakenの取引事業、銀行機能、資産運用、法人向けのPayward Servicesという四つの柱で整理しています。Krakenには約660万の資金入り口座があり、Sethi氏によると、保有資産は400億ドルから500億ドル、対象地域は190以上の国・地域に広がっています。
買収と提携で広がる規制インフラ
Paywardは、自社開発だけでなく、買収と提携を組み合わせて必要な機能をそろえています。米国の先物仲介機能を得るため、NinjaTraderを15億ドルで買収しました。さらに、Bitnomialを5億5000万ドルで買収し、規制下のデリバティブ取引所、清算機関、先物仲介機能を加えています。
同社は欧州で銀行買収を進める意向も示していますが、対象先は明らかにしていません。Sethi氏は、買収対象を広く募集するのではなく、インフラ上の不足を埋め、顧客が必要とする機能を持つかで判断すると説明しています。
一方で、既存の金融機関との提携も進んでいます。NasdaqはPaywardへ1億ドルを投資し、Nasdaq Equity Tokensと市場監視技術で協力しています。両社は、2027年第2四半期にトークンの開始を見込んでいます。London Stock Exchangeも、規制当局の承認を前提に、2027年に予定するLSE 24でxStocksを扱う構想をPaywardと検討しています。
Payward ServicesとxStocksの法人向け展開
Payward Servicesは、Kraken向けに作られた保管、流動性、コンプライアンス、リスク管理、決済、清算の機能を、外部企業が使える形にまとめる部門です。銀行、フィンテック企業、証券会社、暗号資産プラットフォームは、共通APIを通じてこれらの機能を自社ブランドの商品に組み込めます。
Sethi氏によると、少なくとも25社がこのインフラを使った商品を構築しており、年内の開始が見込まれています。Hyperliquidも提携先に含まれます。この仕組みは、利用者がKrakenに直接触れない場合でもPaywardの基盤が使われ得る設計であり、Krakenでの取引以外の潜在的な収益源にもなり得ます。
直近の事例として、Payward ServicesはxStocksを通じて、Ouraの予定IPOに対する非拘束の関心表明を受け付け始めています。対象は、110か国超の適格なKraken利用者とxStocks Alliance参加企業の顧客です。登録は割当や購入を保証するものではなく、IPOが実行され、適格性を満たす場合に、上場日にトークン化商品OURAxとしてOuraへのエクスポージャーが提供される見込みです。
IPOを急がない資金方針と資産運用の拡張
Paywardは2025年11月にIPOを非公開申請したとされていますが、Sethi氏は上場を急いでいない姿勢を示しています。同氏は、同社が黒字で、事業資金を外部調達に依存していないと説明しています。Paywardの2026年第2四半期の調整後売上高は5億800万ドルで、前年同期比17%増でした。
Sethi氏は、Paywardが事業運営に必要な資金を外部資金に頼る必要はなく、自社の財務基盤から投資資金を賄えると説明しています。最近の資本調達は、運転資金の確保ではなく、Citadel SecuritiesやNasdaqなどの戦略的パートナーを招き入れる意味を持つものとして整理されています。
資産運用でも、Paywardは保管、ステーキング、利回り商品を土台に、トークン化株式、クレジット、複数資産戦略、構造化商品へ広げる考えです。Bitwiseとの提携もその一部です。Kraken単体の取引所機能ではなく、外部企業や複数の商品が同じ基盤を使う構造をどこまで広げられるかが、Paywardの金融インフラ戦略の中心になっています。
