欧州中央銀行(ECB)のデジタルユーロ・イノベーションプラットフォームで、新ラウンドの応募受付が9月28日に始まったとされています。2027年上半期にはプロトタイプ開発と、AIエージェント決済などのワークショップが進む予定で、発行判断とは別に用途検証の幅が広がります。
- ECB新ラウンドの応募受付は9月28日に開始
- 2027年上半期にAI決済などを検証します
- 発行にはEU法制整備とECB判断が前提
ECBの新ラウンドに加わるAI決済検討
欧州中央銀行(ECB)のデジタルユーロ・イノベーションプラットフォームで、新ラウンドの応募受付が9月28日に始まったとされています。対象はフィンテック、決済事業者、そのほかの組織です。今回の焦点は、デジタルユーロ(ユーロ圏の日常的な支払いに使う中央銀行デジタル通貨の構想)の支払い機能を、実験と議論の両面から検証する点にあります。
新ラウンドは、実際の支払い機能を試す実験トラックと、将来用途を議論するワークショップに分かれます。ワークショップでは、AIエージェント(利用者などに代わって手順の実行を助けるAI)を使った決済、マイクロペイメント(少額の支払い)、機械間取引、公共サービスでの利用が扱われます。
2027年上半期のプロトタイプ開発
実験トラックは2027年1月から6月まで行われる予定です。選ばれた参加者は、eレシート(電子的な支払い控え)、多者間取引、条件付き決済、新しいフロントエンド機能のプロトタイプを開発します。条件付き決済は、あらかじめ決めた条件を満たした時に支払いを進める仕組みを指します。フロントエンド機能は、利用者が支払い画面などで直接使う部分です。
ワークショップも2027年上半期に予定されています。AI対応決済や機械間取引は、人や機器の操作と支払いの関係を広げるテーマです。デジタルユーロの検討対象が、日常の小口決済から、少額決済や公共分野の支払いにも及んでいることを示す内容です。
フランクフルトでの発表と知見の反映
参加者の一部は、ECBのフランクフルト本部で成果を発表する予定です。ECBは、得られた知見がデジタルユーロの将来の機能改善や利用例に反映され得るとの考えを示しています。
デジタルユーロは、紙幣や硬貨と並ぶ「デジタルの現金」として使う構想です。ユーロ圏のリテール決済(個人や店舗などの日常的な支払い)で、中央銀行マネーをデジタル形態で使う選択肢として位置づけられています。
発行に残るEU法制とECB判断
今回のイノベーションプラットフォームとは別に、ECBは2027年後半から12カ月のデジタルユーロ・パイロットを準備しています。この別枠のパイロットには、Revolut、Stripe、Deutsche Bankを含む36の銀行・決済関連企業が選ばれているとされています。
ただし、デジタルユーロの発行には、EUの法制整備と、その後のECBによる判断が必要です。今回の募集や2027年の実験は、将来の発行を直ちに意味するものではなく、機能や用途を検証する段階にあります。
