暗号資産取引所Bitgetへの侵害で持ち出された3億8700万ドルについて、Chainalysisは北朝鮮関連主体によるものと分析しました。資金は短時間で複数のネットワークとサービスへ移され、追跡と凍結対応が続いています。侵害後の状況を読み取るには、資金経路と各サービスの対応を分けて確認することが重要です。
- Chainalysisが3億8700万ドルを北朝鮮関連と分析
- Bitget資金は3時間23回の送金で4ネットワークへ分散
- AI照合が20時間超の作業を10分未満へ短縮しました
- Near Intentsは5000万ドル超の交換を拒否
- Near Intents、Thorchain、Circle、Tetherで異なる対応
ChainalysisによるBitget侵害の北朝鮮関連主体への帰属
ブロックチェーン分析企業Chainalysisは、9月24日に起きた暗号資産取引所Bitgetへの侵害について、北朝鮮に関連する主体によるものと分析しました。同社の集計では、この侵害を含めて2026年に北朝鮮関連グループが窃取した暗号資産の価値は10億ドルを超えました。
Chainalysisは侵害後、Bitgetおよび法執行機関と協力し、複数のブロックチェーンにまたがる資金の動きを追跡してきたとしています。帰属は、資金移動の追跡とは別に同社が示した分析上の結論です。Bitgetのグレイシー・チェンCEOも侵害のパターンが北朝鮮のハッカーと一致すると述べ、ブロックチェーン分析企業Ellipticも北朝鮮との関連について可能性が極めて高いとの見方を示しました。
3時間・23回の送金で分かれた資金経路
Chainalysisの説明では、侵害後の最初の3時間に、3億8700万ドルが23回の送金でBitgetから移されました。資金はEthereumに49.7%、XRPに40.8%、Zcashに7.6%、Tronに1.8%の割合で分散しました。
攻撃者はその後、異なるブロックチェーン間で資産を移す流動性・メッセージングプロトコル、即時交換サービス、資金洗浄サービスを経由させたとされています。資金を複数の経路へ移し替えることは、元の移動経路をつなげて追う作業を難しくするというのがChainalysisの説明です。XRPは取引所へ送られず、こうしたブロックチェーン間の流動性プロトコルを通じてビットコインへ交換されました。約1日半で数千万ドルが、監視対象となっている攻撃者管理下のビットコインアドレスへ移ったと同社は説明しています。
AIによるブリッジ照合作業と資金追跡
Chainalysisは社内のAIを使い、複数のブロックチェーンをまたぐ資金移動の照合作業を自動化したとしています。同社が短縮したブリッジ照合作業は、別のブロックチェーンへ移された資金の前後関係を照らし合わせる作業です。同社の見積もりでは、手作業なら20時間超を要する作業を10分未満に短縮しました。
この作業は、分散・交換された資金の経路を追うために使われたものです。一方、北朝鮮関連主体への帰属はChainalysisが示した分析上の結論として扱われています。同社は、AIが調査員を置き換えるものではなく、追跡の速度を高める手段であり、調査員が作業を指揮したと説明しました。
Zcash・スワップサービス・発行体に分かれた対応
資金移動では、攻撃者がZcashのシールドプールへ資金を隠し始めたとされています。これは、複数のネットワークへの分散や交換とあわせて、追跡対象の資金がどの経路を通ったかを調べる作業に関わる動きです。
今回確認できる対応の範囲は、侵害資金の追跡、スワップの可否、ステーブルコインの凍結です。ChainalysisはBitgetおよび法執行機関と協力して資金を追跡していると説明しています。資金の移動経路と各サービスの対応を分けて見ることで、どの主体が侵害資金に対して何を行ったかを確認できます。ここで示されているのは侵害資金の経路と対応であり、利用者ごとの資産の扱いを示す情報ではありません。
追跡が進む中で、スワップサービスの対応は分かれました。Near Intentsは攻撃者に関連する5000万ドル超の交換を拒否した一方、Thorchainは処理を継続しました。CircleとTetherは約31万8000ドル相当のステーブルコインを凍結しました。こうした拒否、処理継続、凍結は、追跡された資金に対する各サービスの具体的な対応が一律ではなかったことを示しています。
