米SECの検査部門は、2027年度の検査重点で、証券をトークンとして扱うトークン化を、証券取引の清算を担う市場インフラである清算機関の検査で高リスク領域に含めました。清算機関への検査では方針、手続き、業務プロセス、統制を確認するため、今回の位置付けは、その確認項目の中でトークン化を重点的に見る分類を示します。
- SECの検査対象は3万4,000超の登録事業者
- 清算機関の検査で、証券のトークン化を高リスク領域に位置付け
- Regulation SCIでは、市場システムに関する新興動向として証券トークン化を確認
- 高リスク分類の個別の理由は、今回示された検査重点では説明されていない
市場運営とコンプライアンスに関わる高度AI
米証券取引委員会(SEC)の検査部門は、2027年度の検査重点にスーパーインテリジェンスを含む高度技術を加えました。市場運営、法令順守、不正防止、投資家保護に影響し得る技術として、検査の対象に位置付けています。
検査プログラムの対象は、投資助言業者、投資会社、ブローカー・ディーラー、清算機関、名義書換代理人などを含む3万4,000超の登録事業者です。高度AIについては、調査、コード作成、顧客とのコミュニケーション、コンプライアンス業務での利用も検査上の論点に含まれます。
清算機関の統制確認とトークン化の高リスク分類
清算機関は、証券取引後の清算を担う市場インフラです。今回のトークン化は、証券をトークンとして扱う動きを指します。清算機関の検査では、方針や手続き、業務プロセス、統制を確認する中で、トークン化が高リスク領域として挙げられました。
高リスク領域には、債務不履行のリスク管理、再建・清算、証券貸借、業務運営も含まれます。トークン化は財務省証券の清算制度改革などと並び、市場インフラの変化に伴うリスクの一つにも挙げられています。今回示された検査重点は分類を示していますが、トークン化について個別にどのリスクを理由とするかまでは説明していません。
Regulation SCIで確認する市場システムの新興動向
Regulation SCIは、市場システムの順守と完全性に関する規則です。今回の記事に必要な範囲では、この規則に基づく検査は、市場システムに関わる新興動向を確認する位置付けです。
この検査では、スーパーインテリジェンス、証券のトークン化、取引時間の延長、量子コンピューティングが新興動向として挙げられました。同じトークン化でも、清算機関の検査では高リスク領域として、市場システムの検査では新興動向として示されています。
暗号資産の独立項目とスタッフ文書の位置付け
2027年度の検査重点には、「暗号資産」「デジタル資産」「ブロックチェーン」「ステーブルコイン」の独立項目は置かれていません。2025年度にはあった暗号資産の独立項目は、2026年度に続いて2027年度にも設けられず、トークン化は市場インフラと清算機関の検査項目に含められています。
この検査重点はスタッフ文書であり、法的効力を持たないと位置付けられています。一方で、検査部門が市場インフラの変化をどの領域で確認するかを示す文書として、高度AIと証券のトークン化が明記されています。
